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冷静沈着ビビラレガール その1

僕の中にはいつも一人の女の子がいて、その子の為に僕はラブレターを書いたり歌を歌ったり屋上で彼女の名前を叫んだりする。
彼女は泣き虫でも弱虫でもないけれど反面酷く酷く脆い子で、天災人災事故病死自殺、頼まれてもいないのに名前もわからぬ見知らぬ誰かのありとあらゆる不幸を想像して、その度に涙を枯らす。散文詩を書き貯めては映画館に出向き、初期衝動をバラまく。図書館から借りてきた本の目次を切り抜いて遊ぶ。向かい合わせにした鏡に挟まれて自慰にふけるのが趣味で、吹き飛ばされない程度に電車に左腕をぶつけるのが得意だ。
まあ、もう、言うまでもなく、端的かつ修辞的で蠱惑的それでいて的確な表現をすれば、彼女は気が狂っていた。





千八百十三回。これは、靴箱が頭の中の少女と妄想の中で身体を重ねた回数だ。
欠かすことなく一日一回。一年で三百六十五回。あと三週間足らずで一度の合間も挟むことのないまま、日課を続けて五周年を迎える。
今丁度千八百十四回目のセックスを終えたところだ。ある時はレズビアンの彼女を無理矢理犯し、またある時はスプラッタなプレイを堪能し、蛇のようなスプリットタンレスに自らのイチモツを舐めさせたこともある。
今年で十七になる靴箱は、自身の脳内に住む少女の存在と自分が少女のセクシャル的な嗜好まで好き放題弄くり回せる立場にあることを自覚して以来、通常の自慰では満足出来なくなった。毎朝五分歯を磨くように、移動時間を考慮して待ち合わせ場所に向かうのと同じように、一日一時間、濃密で丹念に行う自慰の時間を割くことを前提に生活を送った。


「きっと彼女は神様からの贈り物で、僕には彼女を愛してあげる義務があるんだ」


いつからか靴箱はそれを疑わなくなったし、同時に脳内の少女に対する愛も深くなっていった。
事実少女は靴箱を愛していたし、愛する人に肉体を愛でられ穴という穴を蹂躙されることに抵抗も感じなかった。勿論それは彼女が靴箱の頭から生まれた人格だということに起因するわけではない。少女は確立された自己であり、自我と意思を持った一つの人格であった。


靴箱は腹にかかった精液を丁寧にティッシュで拭き取っていく。後始末を考えない、一番オナニーを楽しめるタイプだ。
脳内に少女を飼う少年は自分ではだけではないということを、靴箱はまだ知らない。世界中の誰もが「こんな経験をしているのは俺だけだ。このことを他人に話すと変人扱いされるかもしれない」そう考え、彼女達をひた隠しにしている。
ただ、靴箱の中に生きる少女。彼女だけは、本当に、そのままの意味で、まともではなかった。利己的で排他的で個人主義で差別主義で優性思想で偏愛思想で自信家で純愛家で理不尽で偏屈で息をする様に嘘を吐き自らの保身の為に永遠の愛を騙り悲しいほどに著しく倫理観に欠け誰もが疎む不条理な流れ弾だけを愛する男の恋人は、悲しいほど順当に、世界の異端だ。

「靴箱さん」

誰かが彼の名前を呼んだ時、靴箱は少女の唇から受け取った唾液の甘さに溺れていた。
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受験生/ポエマー/リアリスト/合理主義/相対主義/不可知論/多元論者

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